「おしいなぁ。」
「何が?」
「かっこいいのにさ。」
「誰が?」
「神くん。」
「それはありがとう。」
「優しいし。」
「そうかな?」
「頭もよければ、強豪バスケ部のレギュラーだし。」
「そんなことないよ。バスケは好きでやってることだし。」
「何で私好きになりきれないのかなぁ、」
「今すごい爆弾発言をしたね、さん。」








「いろいろ考えたんだけどね。」
「うん。」
「多分、私が小さいのと、神くんが大きすぎるのがいけない。」
「態度の話?」
「神くんそんな態度大きかったっけ?」
「そんなつもりはないけど。」
「態度じゃなくて、身長の話。」
「でも、もうこの身長になっちゃったし。」
「あとは私が伸びるしかないってこと?」
「大丈夫?」
「普通に無理だよね。 もう高校生も2年生だし。」
「じゃぁさんは俺のこと好きになってくれないってこと?」
「うーーん。」








「例えばさ。」
「うん。」
「並んで歩く時間をなるべく少なくするとか。」
「デートしないってこと?」
「こうやって座って喋ってる分には30cm近い身長差とかって関係ないじゃん?」
「まぁね。」
「並んで立ってるときは常に神くんは前かがみとか。」
「それは嫌だな。体に悪そうだし。」
「確かに。」







「自転車で2人乗りとかすればいいんじゃない?」
「あ、なるほど、それはいい考えかも。」
さん、自転車乗れる?」
「え、うそ、私がこぐの?それ身長差もっと広がらない?」
「あぁ、俺がこぐのか。」
「・・・・(神くんてモラハラ気質なのかな・・・?)」
「冗談だよ。ところで、さんが俺を好きになる可能性が見えてきたね?」
「・・・本当に自転車こいでくれる?」
「もちろん。」



「ま、そんな小細工しなくてもさ」
「え?」
さんを好きにならせてみせるけどね。」
「何それ。」
「だって、俺だけ片思いなんて嫌じゃない?」
「!?(・・・その笑顔でそのセリフは反則・・・!)」







「神くん。」
「あれ、さん。」
「どうだった?」
「何が?」
「身体測定。」
「あぁ、体重変わって無かったよ。さんは?」
「私が神くんの体重に興味ない事くらいわかってるでしょ?」







「でも俺はさんの体重に興味あるよ。」
「身長伸びちゃってた?」
「あれ、流されちゃった。」
「どうだったの?」
「あぁ、うん、おかげさまで1cm伸びてたよ。」
「1cmも!? あーあ、これで私と神くんの目指すゴールが2年くらい先に延びたね。」
「え?」
「私3ヶ月で0.9mmくらいしか伸びてなかった。」







「2年延びたっていうのは?」
「今生まれた差を縮めるためには私が1cm以上伸びないといけないでしょ?」
「そうだね。」
「3ヶ月で約1mmってことは、1年で約5mm。てことは1cm伸びるのに2年。」
「結構切り上げたから、実際には2年半くらいかかるね。」
「だって1.5mm伸びる時もあるかもしれないじゃない。」
「ていうかその計算だと俺は1年で4cm伸びることになるけど?」
「!」







「それより、この3ヶ月で身長差はまた開いたかもしれないけど、」
「うん?」
「俺とさんの人間的距離はだいぶ縮まったと思ったんだけど?」
「・・・・」
「それについてはどう思う?」
「・・・・あたし、」
「ん?」
「・・・神くんとどこかに行く時は、頑張ってヒール履くから、」
「!」
「神くんは絶対コンバースの、それも底がめちゃめちゃにすり減ったやつ履いて来てよ。」
「・・・了解(可愛いなぁ)」








多分年の差より重要